この記事は
「世帯主と国民健康保険の関係って?」
「世帯主が違うと保険料って違うの?」 「世帯主を替える時、注意が必要?」 「擬制世帯とか擬制世帯主って何?」 「国民健康保険を1番安くなる方法は?」 「国民健康保険料の計算方法って?」 |
という人に向けて記事を作成しています。
こんにちは、ロンです。
「世帯主を変更したら国民健康保険が何倍にもなった」なんてお話を経理の仕事をしている時によく相談を受けたことがあります。
仕事をしてて思いますが、保険や税金って本当にややこしいのに、ちょっとしたことですごい金額に影響を与えることってありますよね。
そこで今回は世帯主と国民健康保険の関係と1番国民健康保険を安くなる方法の考え方について解説したいと思います。
※国民健康保険は非常に複雑なので、正確にじっくり解説するとかなり長くなります。そのためわかりやすくするためあえて一部の説明を簡略化しておりますので、個別の内容についてはこの記事を確認したあと、あわせてお住まいの市区町村の国民健康保険の窓口などで相談するようにして下さいね。
目次
そもそも国民健康保険に加入している?
世帯主が国民健康保険に与える影響を説明するためには、まず「あなたが国民健康保険に加入しているか」を知る必要があります。
「健康保険料払っているし、加入しているよ」と思う人もいるかもしれませんが、実は健康保険料を支払っていても国民健康保険には加入していないことがあります。
「どういうこと?」と思った人もいるかもしれませんね。
実は健康保険は
- 会社で加入する社会保険
- 医者などある一定の団体が加入する組合保険
- それ以外の人が加入する国民健康保険
と大きくわけて3種類の保険からなりたっているんです。
そして世帯主が誰であるかが影響するのは、国民健康保険です。
保険ごとにいろいろ違いがありますが、特に大きな違いは保険料の計算方法、それぞれをざっくりと解説すると
- 社会保険料:一定時点でのお給料の額
- 組合保険:組合ごとにバラバラ(加入人数であることが多い)
- 国民健康保険:一緒に加入している人の所得の合計
また健康保険は、複数種類加入することができず、またいずれかの保険には加入しないといけません。(例えば国民健康保険と社会保険に両方加入するというのはできませんし、どの健康保険にも加入しないというのはできません。)
つまり今あなたは何らかの健康保険に加入しているはずです。見分け方としては家に健康保険の納付書や届いた手紙があれば確認すれば種類は書いてますし、
お給料明細から健康保険が差し引かれている
⇒社会保険か組合保険の可能性が高いです。
家に健康保険の納付書がくる
⇒国民健康保険の可能性が高いです。(稀に社会保険か組合保険の可能性もあります。)
なので、もしあなたが世帯主を変更することによって、健康保険の金額にどのような影響がでるか知りたいと思っているなら、まずあなたが加入している保険種類を判断することが大切です。
<ワンポイント>
国民健康保険加入の対象となる人は、
- 会社を定年退職した人
- 転職活動中の人
- 自営業を営んで組合などの保険に加入していない人
- 副業だけで生活している人
が多いです。
世帯主と国民健康保険の関係
んで本題、世帯主と国民健康保険の関係についてですが、重要になるのが「国民健康保険料を納める義務があるのは世帯主」ということ。
どういうことかというと、例えば次のような旦那の太郎さんと奥さんの花子さん、2人家族を想像してみて下さい。
太郎さんは住民票でその一家の世帯主として登録されていて、更に会社勤めなので健康保険は社会保険に加入しています。
一方花子さんは、住民票では太郎さんの世帯に加入しているのですが、仕事はフリーランスで活動しているので旦那の太郎さんの扶養には入らず、自分で国民健康保険に加入しているといった場合。
この場合、もちろん国民健康保険に加入しているのは奥さんの花子さんだけなんですが、世帯主は住民票で太郎さんになってますよね。
さて、ここで問題です。国民健康保険料の請求は太郎さんと花子さんどちらに来ると思いますか?
…
…
…
正解は、太郎さん宛に国民健康保険の請求がくるんです。
加入していない太郎さんに請求がくるって、慣れないとちょっと変な感じがしますよね。でも国民健康保険のルールではこのようになっているんです。
<知っておきたい補足>
世帯主が国民健康保険に与える影響
世帯主が国民健康保険に加入しているしていないに関わらず、とにかく請求は世帯主にくるとわかったら次に気になるのが、世帯主が国民健康保険に与える影響ですよね。
でも安心して下さい、普通に国民健康保険を払っている世帯であれば、擬制世帯主の収入がすごい高収入であったとしても、国民健康保険料が高くなることは基本的にありません。支払義務が世帯主にあるというだけです。
ただし、ひとつだけ気を付けないといけないのが、収入が低くて国民健康保険が一部や全部免除されている場合、世帯主が誰かによって国民健康保険の金額が何倍も跳ね上がる可能性があります。
国民健康保険に加入中の人を養う場合、要注意
一番よくある例でいくと、父母が会社を定年退職して収入がなくなり、子どもが面倒をみるようになったので、世帯主を子どもに変えて国民健康保険が高額になるというケースがあります。
基本的に会社を退職すると社会保険から国民健康保険に切り替わるのですが、中には収入がほぼ0円や少しの年金だけになる人もいます。
そして市区町村によって取り扱いは違いますが、収入がすごく低い人には、国民健康保険の一部、もしくは全部が免除になるという取り扱いにしている市区町村って結構あるんですね。
つまり収入がなくて国民健康保険料が払えないなら、あなたは免除してあげますよ。みたいな制度です。
ただこれ、収入があるかないかの判断が擬制世帯主でされていることが多いんです。
つまり今まで世帯主が退職して収入がなくなった父母だったのに、バリバリ働いている子どもに切り替わったことで、「あ、収入一定額あるんなら、免除解除しますね」みたいな感じになるわけです。
市区町村にもよりますが、この免除の金額と言うのが結構大きくて、「父母から自分に世帯主を替えたらすっごい国民健康保険料が跳ね上がった!」なんてトラブル(?)が結構頻繁におこります。
なので世帯主を変更する時は、家族で国民健康保険の状況を確認しておいた方が無難かな、と思います。
誰を世帯主にするのが一番お得?
基本的に世帯主を誰にしても国民健康保険の金額は変わりません。なので誰にしてもお得になることもなければ、損をすることもないです。
ただし国民健康保険の一部、または全部の免除を受けている場合は、世帯主が誰かで影響がでる場合があります。
なので、年金暮らしの両親と暮らすことになったなど、国民健康保険を一部もしくは全額免除されている人が世帯にいる場合、事前に市区町村の国民健康保険の窓口で相談にのってもらった方が絶対におすすめです。
1番健康保険が安くなる方法って?
一番健康保険が安くなる方法は、世帯主変更ではなく、国民健康保険の安い市区町村に引越しをすることです。
「でも国民健康保険の市区町村ごとの差額なんて、年間で知れてるでしょ?」って思ってませんか?
実は国民健康保険の金額は、年収400万ほどの一人暮らしの人で、平成26年のデータだと、一番高い市区町村と一番安い市区町村で比べ、年間なんと35万円近く差がでるようです。
月額3万円の差ってかなりでかいですよね。ましてや一人暮らしならなおさらです。
もちろん自治体ごとによって、受けられるサービスや利便性が違いますから国民健康保険料だけですむ場所を決めるのもいかがなものかとは思いますが、とにかく国民健康保険料を安くしたいなら引越しというのはひとつの方法であることは間違いなさそうです。
ちなみにあなたの現在の国民健康保険料を調べたい、引越し先の国民健康保険料を調べたい場合は市区町村に問い合わせをするか、国民健康保険料計算機(外部サイト)を利用するといいですよ。
ただ引越しもそこそこコストがかかるので、引越しの見積もりも一緒にしてから検討した方がいいかな、と個人的には思います。
(余談)国民健康保険の計算方法
ちなみに国民健康保険の計算方法は市区町村ごとに違いがありますが、基本的には以下のように計算します。
所得割とは、収入から費用を差し引いた金額、つまり儲けの金額に対して一定額課せられる保険料で、儲けが大きくなればなるほど保険料ももちろん大きくなります。
資産割とは、固定資産(土地や家や倉庫などの建物)の価値に対して課せられる保険料で、イメージ的には固定資産税の金額が大きい人ほど保険料が大きくなります。
均等割とは、国民健康保険に加入している人数に対して課せられる保険料で、1人で加入している人よりも、奥さんと2人で加入しているなど人数が増えるにつき増える金額部分のことです。
平等割とは、電気代やガス代の固定費のようなもので、国民健康保険に加入している人に一律一定の金額保険料を徴収するという金額です。
まとめると…
所得割 | 所得(儲け)に対して課せられる保険料 |
---|---|
資産割 | 土地や家などの資産に対して課せられる保険料 |
均等割 | 加入人数に対して課せられる保険料 |
平等割 | 固定の保険料 |
ということですね。
んで、市区町村によっては、資産割と平等割がないとか、保険料のパーセンテージが違うとか、所得の低い人は一部免除されるものがあるなどさまざまあるので、市区町村ごとに国民健康保険料が違う、ということになるわけです。
まとめ
世帯主と国民健康保険の関係についてつらつらと解説してきましたが、だいぶ長くなりましたね、笑
なので重要なところだけまとめると…
- 健康保険には種類がある
- 国民健康保険の支払い義務者は世帯主
- 加入していなくても世帯主が支払い義務者
- 基本的に世帯主が誰かで国民健康保険料に影響はない
- ただし免除されているような場合、世帯主が影響する場合も
- 1番国民健康保険料に影響があるのは住んでいる場所
って感じですね。
そもそも国民健康保険で、すごい所得があるって人の割合はそこまで多くないと思うので注意したいので、家族の中で国民健康保険を免除してもらっている人がいる時の世帯主変更くらいでしょうか。
なので今回の内容を更に1行でまとめると、
世帯主を変更するときに国民健康保険の免除者がいないかだけ確認する
これだけで今回書いた内容の思わぬトラブルは回避できると思います。
一人暮らししてたけど、両親と一緒に暮らそうかな、と考えている人はぜひ気を付けてみて下さいね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
⇒引越しの住民票の移し方-手続きする役所は引越し先?引越し前?
⇒引越して住民票移したのに前の住所の住民税がきた、払う必要ある?
コメントを残す